青葉の美しい季節となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

水曜日担当から金曜日担当に変わりました,心理士の中谷智美です。

お久しぶりでございます。

 

 今回はいつもと趣向を変えて,人間の認知機能について,一つお話をしようと思います。

 みなさま,「認知バイアス」という言葉を聞いたことはありますか?これは,偏見や先入観,固執断定,一方的な思い込み,誤解などの総称です(情報文化研究所,2021)。ステレオタイプと言った方が馴染み深いかもしれませんね。

 みなさんご存知のように,認知バイアスは「良くないもの」として扱われることが多いです。しかし,これは,複雑な情報を単純化して認知的負担を軽減するための機能として,人間に元々備わった能力の一つです。なので,どんなに訓練を受けた人であっても,認知バイアスを持ちます。それが役に立つ場面もあれば,そうでない場面もあります。大事なのは,認知バイアスを持たないように排除することではなく,「人間がどのような認知バイアスを持ちやすいのか」という傾向を知り,コントロールすることだと言えます。

 今日は有名な認知バイアスの一つをご紹介いたしますので,ぜひ日常生活にお役立ていただけますと幸いです。

 

【確証バイアス】

・自分が信じていることが推論に影響を与えること

 人は,推論や情報,結論のもっともらしさよりも,自分が信じていることと同じかどうかということを重視しがちです。自分の信じていることと反する事実があったときにその事実を無視したり,自分の信じていることと合致する事実を過大評価したりします。

 例えば,Aさんが「自分が出かけようとするといつも雨が降る」と信じていたとしましょう。すると,出かけるときに雨が降らなかったときのことは無視して,雨が降ったときに「ああ,やっぱり雨が降った!やっぱり雨に降られてしまうんだ!」と自分が信じたことと合う事実を過大評価し,さらに確信を増すことがあります。

 本当は悪いことはそんなに起きていないのに,いつも悪いことばかり起きると信じていると,生きていくのもしんどくて大変ですよね。そんな時は,自分が信じていることと実際に起きていることを分けて,どんな確率で自分が信じていることが起きるのか,確かめてみてください。もしかすると,実際の世界は,自分が信じているよりも悪くない世界かもしれません。

※ 本当に良くない環境にいらっしゃる場合は,早急に誰かに助けを求めてくださいね。

 

 何度も申しますが,認知バイアスを持つことが悪いわけではありません。どんな人も,みな同じように認知バイアスを持っています。私がお伝えしたいのは,「より楽に」「よりマシな」生活を送るために,このバイアスの存在やバイアスのコントロール方法を知っておくと,役に立つ可能性が高いということです。ぜひ試してみてください。

 

 長くなりましたが,今回のブログはこれで締めくくらせていただきます。ご覧いただきありがとうございました。

 

引用文献

情報文化研究所(2021).情報を正しく選択するための認知バイアス事典 フォレスト出版

金曜日担当心理士:中谷智美